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年間走行18万キロ 傭車の男たち

7 月 26th, 2008 by 番記者O

asahi.com

真夜中の中国道を、熊本ナンバーの大型冷凍車が西へ急ぐ。カーブが続き、バックミラーに下げたお守りが激しく揺れる。
午前0時10分、運転手の40歳代の男性は、岡山県のパーキングエリアに寄った。3分100円のシャワーを浴びるためだ。運転中、ずっと目が充血していた。
前日の朝6時から働きっぱなし。福岡から千葉へ運んだ5千箱計15万本のアイスキャンディーを1人で下ろした後、埼玉で冷凍食品3千箱を積んで夕方に出発。それからずっとハンドルを握っている。
「最後に家に帰ったとは……、記憶になかねえ」。シャワーから戻り、苦笑した。数えてみると熊本の自宅を出て13日目、ずっと車中泊だ。

以下、記録として・・・。

暗い一本道をヘッドライトが照らす。運転席の後ろから前方を見つめていると、眠気に襲われる。
男性の携帯電話が鳴った。仲間の運転手からだ。「帰りの荷物が見つからない」「社長がケチって下道(したみち)を走らされた」。愚痴をこぼし合う。
男性の車は「傭車(ようしゃ)」と呼ばれる。季節で物流量は大きく変わり、運送会社は運べない荷物を同業者に流す。車両が足りないと、2次下請けに回り、これが4次、5次……と続く。もっぱら、これら下請け荷物を運ぶのが傭車だ。
男性は前日に勤務先からの携帯連絡で、仕事の有無と積み荷を初めて知る。九州から東京、大阪へ主に魚や野菜など生鮮食料品を積み、帰りは家具や電化製品、雑誌など何でも運ぶ。まさに「物流の調整弁」、仕事の決まり方は日雇い派遣のようだ。
午前2時、広島県内を走行中に突然蛇行し、車体がきしんだ。男性がしきりに目をしばたかせる。最寄りのサービスエリアに入り、運転席後部の1畳ほどのスペースに倒れ込んだ。「運転中の記憶がない。危なかった。寝るわ、1時間だけ」。すぐに寝息をたてた。車内で12泊目だ。

(続き)

働き始めてから、すでに20時間。前夜は常備薬の精神安定剤を飲んで寝たという。
洗面器、歯ブラシ、つめ切り、洗剤、衣装ケース……。車内に生活用品があふれている。頭上の棚には、空のペットボトル。「急いどると、これに小便するんよ」
エンジンを切った車内は蒸し暑い。冷房をつけたいが、デジタルタコグラフが搭載されており、速度やエンジンの回転数などがメモリーカードに記録される。いつ走っていつ休んだのか、仮眠中はエンジンを切ったのか。グラフに打ち出され、「急発進・急加速」など16項目で5段階評価と点数がつけられる。
国は「エコドライブ管理システム」と名づけ、3年前から総額80億円の補助金を出して導入を進めてきた。「エコに反対するもんはおらんやろうけど、助手席にずっと社長が乗っとるようなもんで気分悪かよね」。エアコンをつけたまま仮眠し、給料から8千円を引かれたこともあった。
起きたのは4時間後の午前6時だった。「まだ、寝足りんね」。だるそうにハンドルを握った。
関門橋の白い鉄塔が見えてきた。「今日の仕事の連絡なかったねえ。あぶれちまったかなあ」。九州を目前に、次の仕事を心配した。
「連続運転は最長4時間」「最大拘束は1日16時間」――。国の労働基準に照らすと違反だらけだが、「違反なしじゃ、食っていかれん」。
運転手歴15年。高校を出て入った会社が倒産し、友人に誘われた。当初500万円あった年収は、ここ数年で300万円台まで落ちた。
午前10時20分、目的地の佐賀の倉庫に到着した。荷下ろしの順番待ちのトラックが10台以上並んでいた。
「こんな生活、いつまで続くっちゃろね」。ハンドルの上に両脚を放り出し、たばこに火を付けた。

(最後)

妻と子ども2人がいる。高校生の長男が「お父さん大丈夫かな」と健康を気づかっている、と妻から聞いた。大学に進んで欲しい。その時までに学費は稼いでおきたい。子どもの将来について、しばらく考えて言った。「好きな仕事をやってよかばってん、トラック乗りだけはダメだ」
午後3時すぎ、冷凍食品の荷下ろしが終わった。期待して仕事の連絡を待っていたが、携帯は鳴らなかった。
給料は歩合制で、東京行きは1往復6万円。月に6往復はしたい。「5往復じゃあ、家族が食べておしまい」。ため息をついて、久しぶりの熊本の自宅へ向かった。
年間の走行距離は18万キロ、地球を4周半走る。

九州‐東京6航海。定期の荷があればともかく、水屋任せではきついかも。

以前放送された「列島3万キロ 時間を追う男たち」のスレ(dat落ち)から。

99 名前: 国道774号線 [sage] 投稿日: 2005/06/11(土) 23:09:51 ID:4Mk63uei
自分は運送とかぜんぜん知らなかった
時々ものすごいスピードで走ってるの見て「あぶねー」くらいにしか思ってなかった
けどこの番組見たら泣けてきた
何で危ないほどにスピード出すのかって言ったら荷主のため
ひいてはうちらのわがまま(欲)のためなんだな

ごめんなさい ありがとう

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6 Responses to “年間走行18万キロ 傭車の男たち”

  1. 奈菜 Says:

    文句を言う人は楽なんです。これこれこうだから、”自分が”気に入らない。どうにかしろ。
    それに対応しなくてはならない人は、本当に大変。

  2. 番記者O Says:

    一つの文句に対応しようとして、走り回るひとは大変です。
    矢面に立たされるのは、文句を言うひとに直接会わなければならないひと。

    長時間紆余曲折天変地異を経て辿り着いた先で開口一番、「今日は遅いですね」。

    (以下自粛

  3. 奈菜 Says:

    すみません。
    コンビニなんかだと遅れが無駄に繋がったりしていて、廃棄になった分の保証をベンダーにしてもらったりしてます。
    破損とは違ってドライバーさん持ちにならないから、たいへんすねって当たりくじあげたりして。

  4. 番記者O Says:

    そういう仕組みが出来ているのは、おそらく全国一律で運行システムが形成されているからかもしれません。
    トラックには「タコグラフ」という、速度やエンジン回転などを記録する装置がついています。装着が義務化されているのは、確か積載5トン以上の車(ということは、いわゆる『4トン車』はつけなくても構わない)です。それを記録した紙を「タコチャート」といいます。これには、運行中の速度やエンジン回転や走行距離などが記録されます。原理としては、速度計などに連動した針が専用の感圧紙に記録を残すというもので、純正の速度計の場所へ交換で設置されたり、或いは時計型のものを追加で設置したりします。アナログな原理で記録されることから「アナタコ」と呼んだり、また用紙を速度計などに合わせて円形にすることから「丸タコ」と呼んだりします。ちなみに「タコ」とは、回転計を「タコメーター」と呼ぶところからきているようです。
    「アナタコ」に対し、速度などをICカードに記録し、PCでデータ出力・保管するものを「デジタルタコグラフ」と呼びます。これには、走行中の速度やエンジン回転などが見やすくプリントアウト出来る利点があるほか、オプションで定温輸送車輌(冷凍車など)の庫内温度記録を残す機能などもあり、またGPSとも連動して車輌がどこで何をしているかリアルタイムに把握出来るようになっております。
    デジタルタコグラフ(『デジタコ』)の仕様はメーカー各社で違っておりますが、
    ・車輌にはICメモリーカードを差し込む。
    ・ハンディ端末で出発や到着、空車か実車か、道路が一般道か高速か入力出来る。
    ・一定時間速度や回転数が基準値をオーバーすると警告音が鳴る。
    ・車輌の所属事業所にカードリーダー及び分析ソフト組み込みのPCがある。
    ・走行中の記録事項に即して運転記録が出力される。
    ・違反事項に応じて運転者個々の成績が記録される。
    といった点は共通して設定されているようです。
    抜け道があるかどうかですが(略

  5. 奈菜 Says:

    なんか、自分ではずして乗ってる人、いっぱいいますよね。(笑

  6. 番記者O Says:

    基本的に、電源抜けばただの箱。
    もともと存在しないものを無理に配線しているから、配線原因のエラー多発。
    IT全盛の今、ICカード処理中にICカードを抜いたら本体が壊れる素敵な仕様。
    そもそもICカードを挿さなければデータが残るはずも無い。

    あっ。抜け道の一部をつい記してしまいました(汗
    基本的に、仕様がザル。ICカードが壊れず本体が壊れる意味が全く分からん(汗
    車輌のロムを調整せざるを得ないリミッターカットの方が、よほど難しいかと。

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