イスラエル占領下にあるパレスチナの妊婦と乳幼児の健康増進を図るため、日本で生まれた母子健康手帳の普及や保健医療従事者の訓練・育成などに国際協力機構(JICA)が取り組んでいる。先月末、ヨルダン川西岸自治区のラマラとエリコでアラビア語版母子手帳の試作品の配布を始め、事業の本格化に踏み出した。
「母子手帳」って、どこにでもあるように錯覚しておりました。
考えてみると、凄い存在なのですね・・・。
「検診や予防接種、子育ての記録などを手帳1冊で管理できれば本当に助かります」。ラマラの母子保健センターで母子手帳を手にした妊婦サナさん(29)は、ひざの上の長女(9カ月)にほほ笑みかけながら話した。情報管理の簡易化に加え、各種記入帳類の一元化で行政経費を削減できることも母子手帳導入のメリットだ。
パレスチナでは生後9カ月以下の乳児の約41%に貧血がみられる(03年、自治政府保健省)など、貧困による母子保健への影響が懸念されている。成瀬猛JICAパレスチナ事務所長は「家庭内医療を可能にして、行政依存度の高い住民意識の改革を促す狙いもある」と抱負を語る。
JICAによると試作された母子手帳は約200部。7月から改訂版約3000部を配布し、半年間の試用期間を経て年間10万部の配布体制に入る。昨年8月に始まった母子保健改善プロジェクト全体の予算は08年までの3年間で1億6000万円。手帳の印刷や配布は日本政府の拠出金に基づき国連児童基金(ユニセフ)が行う。
イスラム原理主義組織ハマス主導の自治政府が発足したことでプロジェクトの難航も予想されたが、自治政府保健省との折衝は「政治問題を排除し、技術的な課題のみに集中する」(同省高官)ことで乗り切った。
