常盤台交番の巡査部長 殉職

MSN毎日インタラクティブ

東京都板橋区東武東上線ときわ台駅で6日、自殺を図ろうとした女性(39)を助けようとして電車にひかれ、重体となっていた警視庁板橋署常盤台交番の宮本邦彦巡査部長(53)が12日午後、板橋区内の病院で亡くなった。職場には、地元の住民らから「交番の宮本さん」の復帰を祈る手紙や折り鶴が届けられていたが、願いはかなわなかった。12日夜から13日午前にかけて、200人以上が交番で記帳した。

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宮本巡査部長は事故後、意識不明のまま集中治療室で治療を受けていたが、12日午後2時25分、家族にみとられながら息を引き取った。遺体を乗せた車は板橋署の正面玄関前に到着。整列した署員約60人が敬礼で迎えるなか、同僚らがひつぎを署内に運んだ。遺族は涙ぐみながら、そのあとに続いた。

常盤台交番や板橋署には事故後、近所の人らから140件を超える励ましの手紙・メール、千羽鶴、花束が届けられた。訃報を聞きつけ、交番にはさらに多くの人が訪れ、記帳や献花をした。遺族も12日夕、交番と事故現場を訪れ、花束をたむけた。

13日朝、記帳に訪れた男性(84)は「以前、宮本さんに運転免許証の更新の手続きを教えてもらった。温厚で誠実そうな方で、お礼を言いたかった」と言う。練馬区の小学3年生の男子児童(9)は、自宅から20分かけて自転車で交番を訪れ、折り鶴3羽を警察官に手渡した。児童は「命がけで相手を守った宮本さんはすごいと思った。宮本さんみたいなお巡りさんがいるのを知ってうれしくなった」と話した。

安倍晋三首相は12日夜、板橋署を弔問に訪れた。遺族らと面会した後、記者団に「危険をかえりみず、人命救助に当たった宮本さんのような方を本当に誇りに思う」と語った。

宮本巡査部長は北海道出身。76年に警視庁に採用され、94年に巡査部長に昇任。04年2月から板橋署に配属され、常盤台交番には05年2月から勤務していた。今月17日には、54歳の誕生日を迎えるはずだった。

岩間功副署長は「まじめで無口だが、責任感の強い人だった。地元の人からは宮本巡査部長というより、宮本さんと呼ばれていた」と地域に親しまれた巡査部長をたたえた。警視庁は宮本巡査部長を12日付けで警部への2階級特進とした。

▽滝沢慶二署長の話 職責をまっとうしようとした宮本巡査部長は、私ども板橋署員の誇りであります。回復を願う多くの激励を賜りました地元をはじめ全国の皆様方と献身的な医療行為を頂いた病院の皆様方に対し、心から感謝申し上げます。

◇安倍首相「緊急叙勲に値」

安倍晋三首相は13日午前の閣僚懇談会で、宮本邦彦巡査部長について「強い正義感と職務を全うせんとする強固な意志から助けようとして亡くなった。緊急叙勲に値する」と述べた。政府の「勲章の授与基準」では「生命の危険を伴う公共の業務のために従事し、その職に殉じた者」を緊急叙勲の対象としている。

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女性を救おうとして電車にはねられ、意識不明の重体だった警視庁板橋署常盤台交番の宮本邦彦巡査部長(53)=12日付で2階級特進し警部=が12日午後、入院先の東京都板橋区内の病院で死亡した。快復を願う家族や市民らの願いは届かなかった。知らせを聞いた市民らが13日朝も宮本さんの勤務先だった交番を訪れ、手を合わせた。

宮本さんは6日午後7時半ごろ、同区の東武東上線ときわ台駅ホーム下の線路で同区内の女性(39)を助けようとして、急行電車にはねられ頭を強く打った。

「宮本、しっかりしろっ」

発生直後の同僚の呼びかけに応えることなく、宮本さんは6日後に息を引き取った。

12日午後5時過ぎ、宮本さんの遺族が常盤台交番を訪れた。妻(53)が交番の机を指さして長男(20)に話した。「ここでお父さんが働いていたんだよ」。2人は交番に飾られた多くの花束や折り鶴をみて、目頭を押さえた。

事故後は、快復を願う多くの市民が、花束や手紙を交番に届けた。死亡の報が流れた12日は、夜遅くまで、市民らが次々と献花や記帳に交番を訪れていた。

事故直前、自転車の鍵をなくし、宮本さんに錠を解体してもらった近所の主婦(42)と息子は同日夕、「自転車を直してくれてありがとう」とのメッセージを添えた花束を持参。主婦は「和やかな対応をして下さった。最後まで、警官として大切なものを守り通したんですね。直接お礼が言いたかった」。

宮本さんは北海道出身。76年に警視庁に採用され、常盤台交番は05年2月から担当だった。

交番隣の踏切の警報音に負けないよう、大きな声で子どもたちやお年寄りらに声をかけていた宮本さんの姿を、地元の人たちは覚えている。

「電車が過ぎるまでもう少しがまんだよ」

新入学の児童には、頭をなでながら話しかけていたという。

その宮本さんの最後の声は、女性を線路上から出そうとしながら電車に向かって叫んだ「止まってくれ」だった、と目撃者は言う。

13日も、交番には朝から花や手紙、折り鶴を供える人たちが相次いだ。交番の手前で静かに手を合わせる通勤客の姿もあった。

「あなたの行動は、警察官のお手本です」

交番の中に寄せられた折り鶴にはそう書かれていた。

宮本さんの遺体は13日午後、埼玉県春日部市の遺族へ引き渡される。通夜は14日夕、告別式は15日午前に同区の葬祭場で行われる。

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Author: 番記者O on 2007年2月13日
Category: news
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